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紅とは<紅化粧ー紅で粧う>

女性の顔に欠かせない色ー「紅」

丹花の唇―赤く美しい唇の様を表現するこの言葉は、「赤」という色の華やかさ・艶やかさが、見る者を惹き付けて止まない魅力を持っていることを象徴しています。
江戸中期の有職故実家・伊勢貞丈(1717〜1784)は、その著『安斎随筆』で、「紅はうすらかに顔の色をよそほふもの」と記し、さらに同著で「古より顔とくちびるに紅を付くることは女の粧なり」とも指摘しています。これらから、紅が女性の顔にとって欠かせない色として認識されていたことがよくわかります。
現在、市場に溢れる化粧品は、口紅をはじめアイシャドウ、アイライナー、マスカラ、チークなど、実に多彩な色をもって商品展開されています。しかし江戸時代は、化粧に用いられた色は赤(紅)・白(白粉)・黒(眉墨・お歯黒)の三色のみ。その中で唯一の有彩色であった紅は、唇はもとより頬・目元・爪にまで、時には化粧下地として用いられることもあったほど、女性の顔に彩りを添える大切な「利かせ」の色だったのです。

頬紅
白粉と紅を混ぜて使用。くすみ防止や地肌そのものを明るく見せるために、白粉を塗る前に、目の周辺から頬にかけて紅を伸ばすこともあった。

口紅
口紅は淡くほのかに色付くようにつけることが良いとされた。おちょぼ口のような小さな口元が好まれたため、上唇・下唇ともに、紅を点(さ)す面積はかなり小さかった。

目弾(めはじ)き
目の縁に紅をひくことを目弾きといった。現在のアイメイクに相当。歌舞伎役者の舞台化粧として発生した化粧だが、町方の女中が真似たのを機に広く行われるようになった。

爪紅(つまべに)
爪先を紅やホウセンカなどで赤く染めたり、模様を描いたりした。

創業当時の紅猪口 唇と目の縁を彩る紅が、「利かせ」の色として、女性の顔をより華やかな印象に仕上げている。本図のように、紅を溶いたり、伸ばしたりする際に薬指を用いたことから、この指を別名「紅点(べにさ)し指」と呼んだ。
「当世美人合踊師匠」・香蝶楼国貞 画・国立国会図書館所蔵
 

江戸の女性の憧れー玉虫色の紅と笹紅化粧

紅は猪口や皿・碗・貝殻などの内側に刷(は)かれた状態で市販されていました。江戸の女性たちの憧れだった口紅は、絶世の美女・小野小町の名にあやかって売り出された「小町紅」。玉虫色の輝きを放つその紅は、大変高価で、一説によればひと点し分が「三十文」(※現在の貨幣価値にして600〜700円程度)に相当したといいます。
この玉虫色の紅を下唇に重ね塗りし、緑色(笹色)にする化粧法「笹紅(ささべに)」が文化文政(1804-1829)の一時期に流行します。そもそも口紅は、基本的に薄付きが好ましいとされていたので、極端に濃く重ねた笹紅化粧は、非常に特徴的かつ一過性のものでした。しかも笹紅は、高価な玉虫色の紅をふんだんに使える富裕層を中心とした化粧だったので、一般庶民にはとうてい真似できる行為ではありませんでした。そのため、庶民は安価な紅で笹色に近い色を作り出す裏技を考案します。まず唇に墨をのせ、その上に紅を重ねます。墨特有の黒光りを紅の下から浮かび上がらせることで、“玉虫色”に近い輝きを作り出したのです。
玉虫の紅を買うことはできないけれど、流行は取り入れたい…そんな江戸の一般女性の心情がよく表れている化粧法です。

笹紅化粧の最中の女性。左手には紅猪口、右手には筆を持ち、丹念に紅を重ね塗りしている。
「今様美人拾二景 てごわそう」・溪斎英泉 画