作品展示会「みかわち焼 ~匠の技の継承~」の併催企画として、4/26(土)に「透かし彫り」体験講座 & トークショーを行いました。
「透かし彫り」の作品を中心に作られている玉泉・福本幸さんに、長崎県からお越しいただき、柔らかい状態の器を前日から準備していただきました。トークショーは、陶磁器関連の雑誌や書籍の編集をされ、みかわち焼に造詣が深い編集者・坂井基樹さんにお願いしました。
福本幸さん(玉泉) 坂井基樹さん
はじめに50分程トークショーを行い、「みかわち焼」の歴史と魅力について坂井さんよりお話しいただき、福本さんの制作の裏話もお聞きしました。繊細な「染付」「透かし彫り」「菊花飾細工」「置き上げ」「薄づくり」など、かつて平戸藩の御用窯が設置された「みかわち焼」ならではの高度な技法が現代まで脈々と受け継がれています。陶器に「透かし彫り」を施すことはありますが、磁器で、しかも編み目のような細かなものを手がけるのは、「みかわち焼」以外では現在ではほとんど見られないものです。粘り気のある土で作る陶器に比べ、陶石の粉で作る磁器は細い部分に亀裂が入りやすく、水分を調節しながら手早く彫ることで、繊細な「透かし彫り」の磁器が完成するのです。
制作時の工夫を伺った後、30分程「透かし彫り」体験を行いました。細い剣先で彫るのは、楽しいけれど根気が必要な作業です。今回は厚めの器で体験しましたが、実際は薄い器のため更に難しいそうです。体験された方からは、「分かりやすい説明と透かし彫りの体験で、ものづくりの苦労を知ることができ、工芸品の価値をさらに感じました」とのお声をいただきました。
玉泉・福本幸さんの「透かし彫り」の作品は、軽やかで涼しげに見え、初夏の季節にもぴったりです。「みかわち焼」の4名の作品を、新作も含めて6/1(日)まで展示しています。是非ご覧いただき、丁寧な手仕事による魅力を感じていただければ幸いです。