3月31日(日)までの期間限定で、ミニ展示「お江戸の便利メイクアップツール・白粉重」を開催しています。
江戸時代の女性は、粉末状の白粉をお水(もしくは化粧水)で溶いてペースト状にし、白粉化粧をしていました。
本展では、白粉化粧をする時に便利なアイテム「白粉重(おしろいじゅう)」をご紹介しています。
江戸時代、女性の肌は「白」くて「光沢(つや)」があることが重要とされました。
江戸時代後期に出版された総合美容読本『都風俗化粧伝』(常設展にて展示)には、素肌を光沢のある肌にするための方法が、なんと12も紹介されています。
光沢を出すためには、白粉の溶き方がポイントでした。
お水や化粧水を少しずつ加えながら、よくよくきれいに溶くという入念な下準備が、白粉化粧には必要だったのです。
展示ケースにずらりと並ぶ、大小の白粉重。
三段のものがほとんどで、よく見ると、いちばん下の段と上二段の深さが違うものが多くあります。
いちばん下の深さがある段はお水や化粧水を入れるのに使い、他の二段を白粉入れ・溶き皿として使っていたと考えられます。
白粉は、溶いて蓋をしておけば数日間は使用できたので、白粉重は便利なメイクアップツールだったのです。
こちらの浮世絵は、当館所蔵の広重画「婦久徳金の成木 うつくし木」。
女性が白粉を手に取り、丹念に煉っている様子が描かれています。
女性の傍らには、白粉重や紅猪口も描かれており、江戸時代の化粧風景を垣間見ることができます。
本展は、新宿区教育委員会様にご協力いただき、「水野原遺跡」444号遺構から出土した白粉重を展示しています。
この遺構は、江戸時代後期の文化文政期(19世紀前半)、尾張徳川家が藩士のための長屋を築造した場所とされています。
大名屋敷の長屋に一定数の女性が住んでいたと考えられ、白粉重をはじめ、紅猪口やお歯黒道具なども出土しています。
江戸時代の女性が実際に使っていた化粧道具をご覧になり、その知恵や、美しくありたいという今も昔も変わらぬ女性の心に、想いを馳せてみてはいかがでしょうか?
本展は今月31日(日)までの開催です。
皆様のご来館を心よりお待ちしています。
ミニ展示「お江戸の便利メイクアップツール・白粉重」
会期:2019年3月2日(土)~3月31日(日)
休館日:毎週月曜日
開館時間:10:00~18:00(入館は17:30まで)
観覧料:無料
特別協力:新宿区教育委員会
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