紅ブログ

神津島に行ってきました

神津島に行ってきました


神津島に行ってきました。
バカンスではありません。
れっきとした出張です。
 
紅の歴史や文化を扱うミュージアムが何をしに? 
当館は学校の見学を受入れていますが、ミュージアムを飛び出し「出前授業」も行っています。
これまで各地の小中学校や高等学校、大学の他、放課後児童クラブや福祉施設などからもお声がけいただき、実施してきました。
 
出前先は東京近郊が中心ですが、東京都って広いのです。島しょ部も含まれます。
というわけで、今回は竹芝から高速ジェット船で馳せ参じ、都立神津高等学校の1年生から3年生まで学年ごとに、3コマの授業を担当させていただきました。
 

 
神津島は「星空保護区」に認定されています。
集落が一箇所に集中しており、もともと暗い夜空が保たれてきましたが、認定にあたって灯りが上にもれない街灯に取り替えるなど、さらなる光害対策に取り組んだのだそう。
おかげで星がとても(気が遠くなるくらい)きれいに見えるだけでなく、ウミガメが産卵に戻ってくるようになったと聞きました。
海岸を歩いてみると、ハマカンゾウやハマユウ、ネコノシタなど、都市部では見かけない花がたくさん咲いています。
 

 
そんな自然豊かな島に育った生徒さんたちに、元祖ナチュラルコスメとも言える紅ってどこまで響くかな‥と内心不安に感じていたのですが、皆さんにとっては、紅はもちろん、紅花も未知の存在。
持参したドライフラワーを、私たちが島で見慣れない花を見つけるたびにわくわくするのと同じような熱量で「初めて見た!」「とげがいっぱい!」と食い入るように観察してくれます。
スライドで紅について学んだ後は、実際に紅を点す体験を。
丁寧に紅を点して発色の良さを実感してくれる子もいれば、口からはみ出すように塗って、ジョーカーみたいになる子もいたり、スライドで紹介した「アヤツコ」という、お宮参りの時に魔除けのために額に紅で文字を書きいれる風習を、早速真似してみたり‥。
スライドレクチャーの内容をそれぞれの関心に引き寄せて、ビビッドな反応を返してくれることに感動しました。
 

 
コロナ禍で子どもたちの外出機会が減った頃、子どもたちに豊かな体験を、と願う先生方のご熱意からお声がけいただく機会が増えました。
臨時休館を余儀なくされていた私たちにとっても、伝統的な紅や、技術や文化を継承する活動を知っていただく貴重な機会となりました。
その後もリピートでご依頼くださる学校もあり、2022年度は25校902名、23年度は21校928名を対象に実施しています。
 
紅そのものについて関心を持ってもらえたら、もちろん万々歳ですが、紅をきっかけにして、歴史や伝統技術、江戸の文化についてなど、若い人たちの好奇心の扉を「コンコン」とノックできたらうれしいです。
神津高校の先生からは、島外の人と接するのも生徒たちには貴重な体験なのだとお聞きしました。知らない人とコミュニケーションをとるきっかけづくりにも活用していただけたらと思います。
どうぞお気軽にお問い合わせください。
 
●過去の活動報告 
●紅ミュージアム出前授業「伝統の赤、紅を知ろう」紹介動画