紅ブログ
2月12日(月・祝)に「紅色和菓子でバレンタイン」~御料紅で作る季節の和菓子~を開催しました
昨年度、夏休みのこども向けに開催した、伊勢半本店の御料紅(食紅)をつかった和菓子作りの講座。出来上がったかわいい色や形の和菓子が、こどもにも保護者にも大好評だったため、一般の方にもご参加いただけるようリニューアルし、バレンタインの手作り和菓子講座として2月に開催しました。
講師は、文京区の根津神社近くにある「御菓子司 一炉庵」の四代目ご店主、池田功さん。一炉庵さんは、明治36年に創業した老舗の名店で、かつて夏目漱石も常連で通っていたそうです。お店には、目にも楽しい季節に因んだ数々の上生菓子などが並んでいますが、毎年、恒例のものに加えて創作も重ね、今やその種類は500近いそうです。
今回の講座では、バレンタインをイメージした上生菓子3種を、池田さんと一炉庵の和菓子職人さんお二人に教えていただきました。
本講座の赤やピンク色の上生菓子には、「御料紅」を使っています。
デモンストレーションとして、白練り切り餡に「御料紅」を加えると鮮やかなピンクに。市販の食紅で本紅色(ほんべにいろ)を作ろうとすると、黄色や青などを混ぜ、細かな分量の差で色が変わり、毎回同じような色を作るのが難しいそうですが、「御料紅」は当然本紅、バシッと1回で色が決まるそうです。
まず作るのは、きんとんの「想い」。
前もってセットしてきてくださった羊羹は、薄く黄味を帯びた柔らかなピンク色です。紅は、熱に弱いため熱を加える羊羹では、赤味が少し消えてしまうのだそうです。
この羊羹を、伏せた“ふるい”にのせて、上からぎゅっと押すと、ほろほろのきんとんが出来ました。きんとんを、丸めた餡子につぶさないようお箸でのせ、ハートの飾りをつけて出来上がりです。
次は、「ばら」。これぞ本紅の鮮やかな色です。食紅や着色料というと、ネガティブなイメージを持たれる方もいらっしゃいますが、「御料紅」に使われている原料は、紅花の花びら。紅花は、漢方や生薬としても使われています。安心して食べられる自然由来の着色料も世の中にはたくさんありますよ。
さて、お菓子のバラ作りは、中心になる餡を、白練り切り餡で包み、更に紅色の練り切り餡を重ねます。そしてスプーンを手に取り、押し当ててそっとひねると、1枚の花弁が出来ました。
バランスをみて、2枚目、3枚目。単純そうでスプーンのねじり具合、引き具合が難しいと皆さん息をつめ、真剣な表情をしていました。皆さんひとりひとり違ってはいますが、花びらのバランスが良くとてもお上手。でも、お互いの花を見比べ…。どうやら、お隣りの花の方が綺麗に見えるようです。
最後のひとつに取りかかる前に、池田さんによる和菓子屋さんの裏話。口のなかでほろっと解ける餡をつくる難しさや、どんなに手間がかかるかなど、また、白いお砂糖と白くないお砂糖の違いや、わらびもちに使われるわらび粉のこだわりといった材料のお話など職人さんならではの話をたっぷり伺うことができました。
そして、最後に作るのは「花束」。色の違う3輪の小バラのブーケです。白餡を斜めに転がし丸みをおびた円錐型をつくり、お花になる濃いピンク、薄いピンク、黄色の練り切り餡を乗せ、スプーンで花弁を仕立てます。先ほどのバラよりもサイズが小さいので、これもなかなか細やかで大変な作業でした。そして、全体を透明な薄い羊羹でふわりと包むと、可愛い花束の完成です。
同じようにセットされた材料から、真剣にそしてひとりひとり遊び心も加えて作った和菓子は、参加者の皆さんの個性が光るものに仕上がりました。自分で作ったお菓子の味はいかがだったでしょうか?バレンタインがテーマの和菓子講座なので、贈り物にした方もいらっしゃると思いますが、和菓子で愛の告白も粋ですよね。
池田さんは、普段、町の和菓子屋さんに立ち寄ることも少ないかもしれないですが、この体験をきっかけに和菓子屋さんに立ち寄って欲しい、そして、お店の人に話しかけて交流のきっかけにして欲しいとおっしゃっていました。
和菓子屋さんに行くと、季節ごとに目に楽しい和菓子があります。ぜひ作ったからこそのお話を、皆さんもご家族、恋人、お友達、周りの方々と季節ごとの風物を追いつつ共有していただければと思います。
今回、着物でお越しくださり、エプロンではなく割烹着に手拭いの姉さん被りで充分に雰囲気を楽しんでくださる参加者もいらっしゃいました。当日の様子は、雑誌「製菓製パン」4月号(㈱製菓実験社発行、記事はP64-65)でもご覧いただけます。
また本講座は、情報公開後、申し込みが殺到し早々に締め切ってしまいましたが、2019年2月にも開催いたします。2018年12月11日(火)から先着順に申込みを受け付けいたしますので、ご興味のある方、手作りの和菓子で告白をしたいという方は、ぜひご参加ください!お申込みお待ちしております。
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