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「作家に学ぶ絵付体験―赤絵細描(中・上級編)」を開催しました

「作家に学ぶ絵付体験―赤絵細描(中・上級編)」を開催しました


手仕事ギャラリー「赤絵細描と共に歩んだ軌跡-福島武山 喜寿展」の併催企画として、3月26日に福島武山氏を講師としてお招きし、中・上級編の絵付体験講座を開催しました。
 

 
福島先生が実際に使用している道具や絵具をお借りし、参加者の皆さんには奥深い赤絵細描の技法をご体感いただきました。
 
今回制作したお茶碗には、絵付をしやすいように福島先生が線描きをしてくださっていました。手毬、折鶴、起き上がりこぼし、と石川らしい縁起の良いアイテムが描かれています。
 
お茶碗の表面には絵具が定着しやすいように、あらかじめにかわ液が薄く塗られています。
 

 
ガラス板の上の赤絵具を乳棒で丁寧に摺り、なめらかな絵具を作ります。筆に含ませ、素地の上に筆を滑らせます。細く同じ濃さの線を描き続けるのはとても難しい…。スタッフAも少しだけ体験してみましたが、福島先生がサラサラ~っと描く見本のようには、とても真似できません。
 

 
手毬の絵柄の一部には、細筆で小紋を描き進めていきます。
小紋は三種類。古より吉祥文として好まれ、赤絵細描作品にも多く描かれる麻の葉文様、七宝文、そして福島先生オリジナルの十字と丸を組み合わせた可愛らしいデザインです。
 
小紋以上に難易度が高かったのが起き上がりこぼしの顔です。福島先生の見本のように表情豊かに愛らしく描くのは至難の技。この画像はスタッフAのものですが、左右対称に描くことが難しく、眉毛も目も歪んでしまいました…。
 

 
赤絵具は焼成後もそれほど色が変わらず、照りや艶が増すものの色の濃さはあまり変わらないそうです。完成をイメージしながら丁寧に絵付を施します。
 

 
起き上がりこぼしや鶴は少し太めの筆に赤絵具を含ませ塗っていきます。はみ出さないように丁寧に丁寧に。赤絵具は乾くのが早く、ムラなく塗るのはとても難しいことを実感します。厚く塗り過ぎると焼いた時に割れてしまうそうで、筆に取る絵具の加減も難しいです。
 

 
濃い赤を塗り終えると筆に水を多めに含ませ、赤絵具の色味を調整し薄い赤色で手毬や鶴を塗っていきます。水分量を増やすと、より一層ムラが目立ち、均一に塗ることが大変です。鶴の模様を塗り終えると、赤絵具の色の違いがはっきりと分かります。
 

 

 
起き上がりこぼしの体には、黄色と緑の和絵具(日本伝統の上絵付用絵具)を使って、梅と竹を描いていきます。薄いピンクに見える絵具は焼くと緑色に、オレンジ色は黄色に変わります。
和絵具は赤絵具と違って粘り気があります。赤絵具の“細く長く”とは異なり、こちらはたっぷりと盛り上げて描いていきます。赤絵具に重ねてしまうとせっかくの赤絵が消えてしまうので、慎重に赤い線にかからないよう丁寧に塗っていきます。
 

 
和絵具は乾くのが遅く、また思うような形にならず広がってしまうので苦戦していらっしゃる方も。「できない!」「おそろしい~!」と声に出しつつも、絵具の質感を楽しみながら絵付をしました。
 
全ての工程が終わると模様のない部分に水玉文様を描いたり、絵の一部にアレンジを加えたり、皆さんのオリジナリティを加えた一点物のお茶碗が完成しました。
 

 
今回は中・上級者向け講座ということもあり、絵付経験者の方も多く、マイ絵筆ご持参で、手慣れた手つきで進めていらっしゃる方も!黙々と集中して作業を進め、2時間の講座があっという間に終了となりました。
 
絵付した作品は福島先生の窯にて750℃で焼成します。どのように仕上がるのか楽しみですね!
 
赤絵具による細描、グラデーション表現、和絵具と赤絵細描のみならず九谷焼の楽しさを体験できる講座となりました。
 

 
「手仕事ギャラリー 福島武山喜寿展 赤絵細描と共に歩んだ軌跡-福島武山 喜寿展」は4月9日(土)までの開催です。
 
また、福島武山先生の喜寿を記念した作品展は、2022年会期・会場を移しながら催されます。それぞれの会場で異なる作品が展示されますので、奈良・石川にも足を運び、奥深い赤絵細描の世界をご堪能ください。
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「赤絵細描と共に歩んだ軌跡-福島武山 喜寿展-」 2022年2月26日(土)~4月9日(土)
紅ミュージアム(東京都港区南青山)
 
「喜びの色・・・・・赤」九谷赤絵細描 福島武山 2022年4月17日(日)~6月26日(日)
緑ヶ丘美術館(奈良県生駒市緑が丘)
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