新着情報
「おうちミュージアム」②[解答編]
*「おうちミュージアム」①[問題編]をまだといていない人は、そちらから始めてください*
浮世絵(うきよえ)や鏡台(きょうだい)の写真の中から、昔の化粧道具(けしょうどうぐ)をみつけることができましたか? いっしょに答えあわせをしていきましょう!
浮世絵①
*答えと解説*
1:柄鏡(えかがみ)
持ち手(柄)がついた鏡。江戸時代の鏡といえばこのかたちで、多くの女性が持っていた。
持ち手(柄)がついた鏡。江戸時代の鏡といえばこのかたちで、多くの女性が持っていた。
2:紅猪口(べにちょこ)
くちびるや目、頬(ほお)のお化粧に使う「紅」が、乾いた状態で入っているいれもの。
ひきだしの上の段に入っているのも紅猪口。紅は光に弱いため、使わない時はふせておいた。
紅筆(べにふで)
紅をくちびるなどにつける時に使う筆。鹿やうさぎの毛が使われることが多かった。
くちびるや目、頬(ほお)のお化粧に使う「紅」が、乾いた状態で入っているいれもの。
ひきだしの上の段に入っているのも紅猪口。紅は光に弱いため、使わない時はふせておいた。
紅筆(べにふで)
紅をくちびるなどにつける時に使う筆。鹿やうさぎの毛が使われることが多かった。
3:白粉重(おしろいじゅう)
顔にぬる白粉を入れておくもの。白粉とはお化粧用の白い粉のことで、水を混ぜて使う。それぞれの段に白粉や水を入れた。
顔にぬる白粉を入れておくもの。白粉とはお化粧用の白い粉のことで、水を混ぜて使う。それぞれの段に白粉や水を入れた。
お化粧をはじめるシーンがえがかれています。
女性が、白粉重から白粉を手にとり、てのひらでよく混ぜ、顔にぬる準備をしています。
女性が、白粉重から白粉を手にとり、てのひらでよく混ぜ、顔にぬる準備をしています。
ここに注目!
紅(べに)は、紅花という黄色の花の花びらにほんの少しだけふくまれている赤色色素(しきそ:色のもと)のこと。お化粧以外にも、染めものをする時や、絵具としても使います。
紅(べに)は、紅花という黄色の花の花びらにほんの少しだけふくまれている赤色色素(しきそ:色のもと)のこと。お化粧以外にも、染めものをする時や、絵具としても使います。
浮世絵②
*答えと解説*
4:房楊枝(ふさようじ)
歯をみがく時に使う。片方がブラシ、もう片方が楊枝になっていて、持ち手の部分で舌をそうじすることもある。
歯をみがく時に使う。片方がブラシ、もう片方が楊枝になっていて、持ち手の部分で舌をそうじすることもある。
5:嗽碗(うがいわん)
歯をみがく時や、お歯黒(はぐろ)をする時に、口をすすぐための水を入れて使うお碗。
歯をみがく時や、お歯黒(はぐろ)をする時に、口をすすぐための水を入れて使うお碗。
6:房楊枝箱(ふさようじばこ)
房楊枝を入れておく箱。ふたはスライド式で、中に新しい房楊枝や歯みがき粉を入れた。
房楊枝を入れておく箱。ふたはスライド式で、中に新しい房楊枝や歯みがき粉を入れた。
朝の歯みがきシーンがえがかれています。
右手に房楊枝、左手に水を入れた嗽碗を持ち、真剣に歯をみがいています。
右手に房楊枝、左手に水を入れた嗽碗を持ち、真剣に歯をみがいています。
ここに注目!
江戸時代の人は、一日一回、朝に歯みがきをしました。歯みがき粉として使ったのは塩やみがき砂。みがき砂とは、ものをみがくために加工した細かい砂のことで、香りのついたもの、紅で色をつけたものなどがありました。
江戸時代の人は、一日一回、朝に歯みがきをしました。歯みがき粉として使ったのは塩やみがき砂。みがき砂とは、ものをみがくために加工した細かい砂のことで、香りのついたもの、紅で色をつけたものなどがありました。
浮世絵③
*答えと解説*
7:櫛(くし)
髪を結(ゆ)う時や、とかす時に使う。部分によって使いわけたため、さまざまな形のものがある。
髪を結(ゆ)う時や、とかす時に使う。部分によって使いわけたため、さまざまな形のものがある。
8:元結(もとゆい)
こより(和紙によりをかけた細いひも)を糊(のり)で固めた、髪を結う時に使うひも。女性の左手にもえがかれている。
こより(和紙によりをかけた細いひも)を糊(のり)で固めた、髪を結う時に使うひも。女性の左手にもえがかれている。
9:柄鏡(えかがみ)
持ち手(柄)がついた鏡。正面の鏡とあわせて使うことで、髪型(うしろ姿)を確認することができた。
持ち手(柄)がついた鏡。正面の鏡とあわせて使うことで、髪型(うしろ姿)を確認することができた。
女性が長い髪を上手にまとめ、結っているシーンがえがかれています。
鏡をみながら、髪油をぬり、櫛でととのえ、元結を使ってセットしています。
鏡をみながら、髪油をぬり、櫛でととのえ、元結を使ってセットしています。
ここに注目!
髪のつやを出すためなどに、植物から作られた油(椿油や菜種油など)や、粘りけのある水「鬢水」を使いました。油は「髪油壺(かみあぶらつぼ)」、鬢水は「鬢水(びんみず)入れ」に入れました。
髪のつやを出すためなどに、植物から作られた油(椿油や菜種油など)や、粘りけのある水「鬢水」を使いました。油は「髪油壺(かみあぶらつぼ)」、鬢水は「鬢水(びんみず)入れ」に入れました。
※浮世絵にえがかれている化粧道具のうち、みつけにくい道具については一部取りあげておりませんが、実はいろいろなアイテムがかくれています。気になる方は、再開後、ぜひ実物をみにミュージアムにお越しください。
≪その他の化粧道具≫
今回取りあげた3点の浮世絵にはえがかれていない化粧道具もごしょうかいします。
10:剃刀(かみそり)
眉をそる時や、衿足(えりあし:髪を結いあげた時の首すじの生えぎわ)をととのえる時に使う。
眉をそる時や、衿足(えりあし:髪を結いあげた時の首すじの生えぎわ)をととのえる時に使う。
11:眉墨(まゆずみ)
眉をかくために使うお化粧用の墨(すみ)を入れる。墨は、真菰(まこも)という植物からとった黒色の粉や、煤(すす:けむりに混ざって飛ぶ黒色の粉)などと、植物から作られた油を混ぜて作る。
※画像では墨は入っていません。
眉をかくために使うお化粧用の墨(すみ)を入れる。墨は、真菰(まこも)という植物からとった黒色の粉や、煤(すす:けむりに混ざって飛ぶ黒色の粉)などと、植物から作られた油を混ぜて作る。
※画像では墨は入っていません。
12:白粉刷毛(おしろいばけ)
白粉をぬる時に使う。顔や首など、ぬる部分によって使いわけるため、いろいろな種類があった。
白粉をぬる時に使う。顔や首など、ぬる部分によって使いわけるため、いろいろな種類があった。
13:髪油壺(かみあぶらつぼ)
髪のつや出しや保護のために使う、植物から作られた油のいれもの。
髪のつや出しや保護のために使う、植物から作られた油のいれもの。
ここに注目!
<鏡台のひきだしのヒミツ>
ひきだしというと、手前にひくイメージがあるかもしれませんが、この鏡台はどうでしょうか? ひきだしは横にひらいていますね。鏡の正面にすわったままでも中のものが取りだしやすいよう、ひきだしは手前ではなく、横にひくようになっていました。
<江戸時代のお化粧の色は3色だけ>
江戸時代、お化粧に使われた色は、紅の赤、白粉の白、お歯黒や眉墨の黒の3色だけでした。女の人は、結婚をすると歯を黒く染め(お歯黒)、赤ちゃんが生まれると眉をそるなど、決まりごとも多くありました。
<鏡台のひきだしのヒミツ>
ひきだしというと、手前にひくイメージがあるかもしれませんが、この鏡台はどうでしょうか? ひきだしは横にひらいていますね。鏡の正面にすわったままでも中のものが取りだしやすいよう、ひきだしは手前ではなく、横にひくようになっていました。
<江戸時代のお化粧の色は3色だけ>
江戸時代、お化粧に使われた色は、紅の赤、白粉の白、お歯黒や眉墨の黒の3色だけでした。女の人は、結婚をすると歯を黒く染め(お歯黒)、赤ちゃんが生まれると眉をそるなど、決まりごとも多くありました。
≪もっとクイズを楽しみたい方へ≫
ここまで江戸時代の浮世絵をみてきましたが、もう少し新しい時代に作られた絵やポスターもごしょうかいします。
「今すがた ゆきのはだ」山本昇雲画/明治39年(1906)
「大阪化粧品商報25周年記念懸賞入選ポスター」昭和5年(1930)
これら2枚も、えがかれているのは化粧のシーン。
江戸時代にはなかった化粧品がえがかれていますが、どこにあるでしょうか?
<答え>
右:「音羽菊」(煉り白粉)山崎帝國堂製 明治29年(1896)~/アダチヨシオ氏蔵
鏡台の上には、江戸時代にもあった紅猪口(べにちょこ)、刷毛(はけ)のほかに、煉り白粉(ねりおしろい)のビンがあります。煉り白粉は、ペースト状の白粉で、明治時代にヨーロッパから伝わったものです。水でといて、肌にぬりました。
右:「艶蝶棒紅」伊勢半製 昭和時代初期/紅ミュージアム蔵
女性が手にもっているのは棒紅(ぼうべに)。アラビアゴムと色をつける顔料(がんりょう)を棒の形にかためたもので、いれものはなく、銀紙や和紙にまかれていました。水か唾液(だえき:ツバ)でといて使いました。NHK連続テレビ小説「エール」に登場したのを、ご覧になった方もいるかもしれません。「化粧の崩(くず)れは心の崩れ」とは、ドキッとすることばですね。
*紅ミュージアムには、化粧に関する資料がたくさんあります。再開しましたら、ぜひご見学にお越しください。おうちにいる間は、コレクションページでお楽しみください。
日本全国、たくさんのミュージアムが「おうちミュージアム」に参加しています!