講座・イベント

岩田俊彦


Authentic Aesthetic -岩田俊彦 作品展-

2020年11月14日(土) - 12月20日(日) 
 
艶やかな美しさを持った堅牢な塗料として、
美術工芸品から日用品に至るまで様々な形で親しまれてきた漆。
今回、漆工芸の伝統的な技巧を用いつつ、既成の概念にとらわれない表現で作品を創作する
漆芸作家 岩田俊彦氏の作品展を開催します。
 
岩田氏を象徴する、植物や昆虫などのモチーフが幾何学的平面に僅かな厚みと色艶で配された
大型のフラットパネル作品と、その一方、偶発的でアバウトな漆の表情を引き出した作品を
紹介すると共に、両世界観を表現した新作27点の紅板を展示・販売いたします。
 
Authentic-正統な技術-とAesthetic-稀な感性-によって日常の中にくすぶるような
余韻を残す岩田氏の創作の世界を、ぜひこの機会にご堪能ください。

 
【作品展の見どころ】

■ Point1
グラフィカルな線や紋様を描いた艶やかな平面に、植物や昆虫などが独創的な色彩で構成された岩田氏を象徴するようなパネル作品。無機質な印象を受けますが、画面上に浮かび上がる僅かな漆の厚みや色艶、線の揺らぎが、有機的な一瞬の逡巡を残し妖美な毒を放ちます。



■ Point2
家紋をモチーフにしたシリーズは、そのままでも完成されたデザインである家紋を「生活に漆を取り入れたときに、現代にどう構成していくか」というフィルターを通して再解釈することで、他にはないインパクトのある作品に昇華しています。



■ Point3
明確な完成予想図に向かって作り上げていく漆工芸本来の技法の対極ともいえる「偶然性の面白さ」を追求した作風も開拓しています。下地を活かし、錆*を付け、漆を含浸し、研ぐ。2年ほど前から始めたマチエールシリーズでは、人為的ではない新たな漆の表情を引き出しています。

※錆とは、漆と砥の粉(とのこ・茶色い岩石を砕いた非常にきめの細かい粉末状のもの)を混ぜたもの。下地として器の表面を整えるために用いられる。


■ Point4
本企画のために、岩田氏の世界観と紅板とを融合させて特別に制作していただいた新作をご紹介します。紅板とは、紅を携行するための化粧道具で、江戸時代より、象牙や金属、漆器、紙製などに加飾し、趣向を凝らして誂えられました。岩田氏の手仕事が、手のひらサイズに濃縮された珠玉の作品です。

※今回の紅板作品は、一般社団法人 ザ・クリエイション・オブ・ジャパン(CoJ)が行う「企業」と「つくり手」を繋ぐプロジェクト「つくるフォーラム」をご縁に制作されました。

■ 作品販売
紅花から作られる「紅」。日本伝統の色を守り伝える伊勢半本店と、岩田氏のコラボレーション紅板(リップパレット)を、2020年11月14日(土)より販売します。
岩田氏の丁寧な手仕事で制作された紅板作品(作品の見どころPoint4で紹介)に、リフィル式の口紅「小町紅」をセットした特別な仕様です。販売価格は4万円~11万円です。
また会期中、菓子器や帯留めなど日常に取り入れたくなる漆作品の数々を販売します。


岩田俊彦
1970 神奈川県鎌倉市生まれ
1999 東京藝術大学美術学部工芸科漆芸専攻卒業
2008「モンブラン ヤングアーティスト パトロネージ イン ジャパン」
   モンブラン銀座本店
2010「漆 そのあたらしい表現を巡って」喜多方市美術館
2012「漆芸 軌跡と未来」東京藝術大学大学美術館
2014「KIZASHI」ポーラミュージアム アネックス
2017「会津・漆の芸術祭2017」福島県会津若松市
2019「日本漆山脈」阪急うめだ本店