コレクション

錦絵・版画類

「今様美人拾二景 てごわそう」

文政5年(1822)~6年(1823)頃 / 溪斎英泉画

紅を重ね塗りし、唇を玉虫色に輝かせている女性。上質な紅を下唇に塗り重ねて笹色に輝かせる「笹紅化粧」が、文化・文政期に流行る。

「婦久徳金の成木 うつくし木」

弘化4年(1847)~嘉永5年(1852)頃 / 初代歌川広重 画

鏡に向かって身支度をしている女性。白粉を手に取っている様子で、脇には白粉重を使用している状態が見てとれる。その奥の紅筆をかけた紅猪口の紅は、玉虫色に表現されている。

「摸擬六佳撰 小野小町」

弘化4年(1847)~嘉永5年(1852)頃 / 一陽斎豊国(三代歌川豊国)画

結髪を解いた洗い髪の女性。左手に紅猪口を持ち、右手には紅筆の代わりとして使用した玉簪を持つ。コマ絵や画賛は小野小町と京都産の紅の一名称「小町紅」をかけた内容となっている。

「譬諭草をしへ早引 歯」

天保14年(1843)~弘化4年(1847) / 一勇斎国芳 画

婚礼を控え、初めてお歯黒をすること、またその儀式を「初鉄漿(はつかね)」という。本資料はその様子を描いたもの。お歯黒道具一式を広げ、柄鏡で確認しつつ、不慣れながらも歯を黒く染め終えたところであろう。

「當世名物鹿子 金龍山参詣群集」

文政・天保期(1818-44) / 溪斎英泉 画

鏡台の前に座り、嗽碗を抱えながら歯を磨く女性。鏡台脇には、楊枝箱が置かれ、磨き砂と思しき包紙がのぞく。江戸時代の歯磨習慣は、原則日に一度、起床後に磨くもので、食後につど磨くことはしなかった。

「栄草當世娘」(部分)

天保期(1830-44) / 香蝶楼国貞 画

鏡建に掛けた柄鏡に向かい、髷の毛筋を整える女性。奥にはもう一組の柄鏡があり、結髪後に合わせ鏡で仕上がりを確認するために用いた。手前には、にぎり鋏、元結、櫛、櫛払い、油壺、鬢附油入れといった結髪道具が広げられている。

「疱瘡絵 鐘馗」

嘉永期(1848-54)頃 / 一登斎芳綱 画

疱瘡見舞品のひとつ、赤摺りの一枚絵。赤絵あるいは紅絵ともいい、摺り絵具に紅を用いた。疱瘡絵は病魔を払う呪具の一種であり、病人の寝床に立てた枕屏風の内側に貼って過ごし、病後は厄払いのため処分することが一般的であった。

「口紅」

昭和7年(1932)1月 / 鳥居言人 画

昭和初期の日常的な化粧風景を描く。左手に紅猪口を持ち、右手薬指に紅をつけ紅点しをしている。薬指は、別名紅点し指ともいわれる。

「今すがた ゆきのはだ」

明治39年(1906) / 山本昇雲 画

もろ肌を脱ぎ白粉化粧をする女性。長方形のガラス鏡の鏡台、煉り白粉、紅猪口、化粧刷毛は近代以降の典型的な化粧アイテム。特にペースト状の煉り白粉は、明治に西洋から入ってきたもの。水に溶いて肌に塗る。